定期試験で結果を出す方法 番外編②

今回は,保護者様からいただいた質問の2点目について,お答えしていきたいと思います。

自分の学校の定期試験に向けて,近隣の中学校で前日に行われた試験の問題を勉強させることに意味はあるか。

結論から申し上げますと,点数は良くなるでしょうが,意味はまったくありません。

定期試験は範囲がせまいので,同じような問題が出題される可能性が非常に高いです。ですから,先に行われた問題や過去問に目を通し,前日に答えを丸暗記するだけでも点数につながるでしょう。
しかし,これは本当の意味で子どもたちの学力を鍛えることにつながるでしょうか。

わざわざ他中学の問題を使わなくても,教科書や学校のワーク,教科書準拠のワーク等を丁寧にすみずみまで学習しておけば,それだけで定期試験において高得点を取ることは可能です。ですから,正しい学習を徹底できている生徒ほど,他中学の問題や過去問は必要のないものであるはずです。
過去問を使えば覚えるべき内容をピンポイントに絞ることができ,生徒たちの手間が少なくなるという考えもあるでしょうが,その手間は削るべきものではないと考えています。
少なくとも,上牧中学校や上牧第二中学校の問題において,過去問を使ったような特別な対策は必要ありません。教科書等を使い,丁寧に学習することで十分対応可能です。

したがって,近隣の中学校で前日に行われた試験の問題を勉強させることには何の意味も無いと考えます。

 

Daichi上牧でも昔は塾主導の定期試験対策を行っていました。こちらが定期試験の問題を徹底的に分析した上で,点数を取るために効果的な課題プリント等を用意し,それを使いながら生徒たちに解説授業をするような形です。これが昔のDaichi上牧の定期試験対策でした。
しかし,今では闘魂期間中に解説授業をすることはまったくと言っていいほどありません。私が行うことは,主に確認テストや学習管理シートを用いた達成度の確認と進捗状況の管理です。もちろん質問対応もしますし,質問は大歓迎ですよ。
正直なところ,塾主導で対策を行っていたときの方が即効性は高かったです。途中入塾の場合,次の定期試験で5教科合計点が100点以上アップするということも頻繁にありました。現在でも,最終的には入塾時に比べ大きく点数をアップさせる生徒がほとんどですが,大きく結果が出るまでには時間がかかるようになりました。ですから,入塾時期が極めて遅い生徒はなかなか厳しいというのが現実です。

では,なぜDaichi上牧では定期試験に対する取り組みを変えたのか。

私自身が,尊敬する個人塾の先生方の取り組みから影響を受けたこともありますが,何よりも目の前の生徒たちの様子から,当時の定期試験対策に疑問をもったことが大きな理由です。

塾主導の定期試験対策を行っていたときは,こちらからやるべきことをすべて提示していたので,生徒たち自身が「自分に必要なこと」を考える余地はほとんどなかったように思います。ですから,よくない優先順位をつけている生徒もいました。自分の達成度などお構いなしに,対策プリントだけを重視し,教科書や学校の授業ノート等を軽視するような形です。
前述のとおり,定期試験は範囲が限られていますから,よく出る問題だけを直前に詰め込む付焼刃の勉強でも,ある程度の点数を取ることは可能です。しかし,入試は同じようにはいきません。受験する高校,求められる学力,苦手教科,苦手単元,すべて人それぞれですから,膨大な学習内容の中から自分の抱える課題と向き合い,課題を解決するために必要なことを常に考えながら学習しなければなりません。範囲の限られた定期試験ですら,やるべきことを絞ってもらうことに慣れてしまっている子たちにとっては,非常にハードルの高いことだと思います。だからこそ,受験生になるまでにも自学力を鍛えておくべきなのです。特に,上位校に進学していくような子たちには自学力は必須です。高校生になると,さらに高いレベルの自学が求められるようになります。ですから,中学生のうちにしっかりと自学力を磨いておくと,高校生になってからの学習もスムーズに行っていけるはずです。

こうした理由もあって,定期試験に向けての学習を「良い点数を取るため」だけのものではなく,「自学力を磨く」ものにしたいと考えるようになりました。もちろん自学力は一朝一夕で身につくものではありませんから,定期試験前だけでなく,日頃からの取り組みが重要であるのは言うまでもありません。しかし,結果を出すためには何が必要かを自分自身で試行錯誤してみる機会として,定期試験は非常に適しています。

「生徒たち自身に気づかせる」というのは,非効率的な部分もたくさんありますが,その非効率的な部分こそが,生徒たちの本当の意味での「学力」を鍛えていくのだと考えています。そして,自分自身で考えて行動した上での成功(失敗)体験,自分自身の工夫の詰まった学習方法など,生徒たち自身が自らの手でつかみ取ったものは,深く自分の中に根付き,大きな自信につながるはずです。

何事においても,与えられるのを待つのではなく,自らの手でつかむということを,Daichi上牧の塾生には大切にしてほしいと考えています。

最後までご覧いただき,ありがとうございました。
ではまた次回。

 

進学塾Daichi上牧 校長 平見優樹

 

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