小さな一歩、大きな決意

「結果は良くありませんでした・・・」
中3のMくんは塾に入ってくるなりに気まずそうに私たちにこう言った。
 
上牧中学校では今週月曜日に中間考査が行われた。
昨日、テスト返却がされた。
進学塾Daichi上牧では、塾に到着するとすぐに定期考査や実力テストの結果を報告する。平見と私が待ち構えているからだ。
 
「あんなに頑張ったのに結果が出なかった。悔しいです。」
彼の口から勉強で悔しいという言葉が出てきた。
 
新型コロナの影響で学校が休業中だった時のMくんは本当に酷かった。
宿題はしてこないのは当たり前。
時には答えを丸写してくることもあった。
宿題をしていないこともウソをついて逃れようとする。
授業中もダラダラし、ペンがなかなか進まない。
 
「あっ、これはマズイよな」
彼に対する危機感を私は感じた。
ある程度の年数生徒を指導をしていれば、一つづつ課題の確認などしなくても、子どもの目つきを見ればごまかしたり、サボろうとしていることなど一目瞭然なのだ。
 
Mくんにはここに至るまでに何度も何度もごましてはいけないという指導をした。
だが、改善する様子が見られなかった。
ウソにウソを重ねる状態が続いていたので、ついに私は彼に帰宅指示を出した。
 
このままここで過ごしていて、彼にとって一体何の意味があるのだろうか。
 
「今日は勉強しなくてもいいので帰宅しなさい」
忘れもしない、5月23日(土)の出来事だった。
 
彼は帰宅するとお母さんとお兄さんにこっぴどく叱られたらしい。
 
私も考えた、彼が私たちの塾に通う意義とは何なのかを。
Mくんのお母さんともお電話で話をさせて頂いた。
 
ショック療法だったとはいえ、帰宅させたことへの謝罪と今後どのようにして彼を指導していくかについてお話をした。
 
結論は宿題を出さないという方針にした。
厳密にいうと、宿題は出さない代わりに月曜日から土曜日まで毎日塾に来るという約束にしたのだ。
 
塾はMくんにとっての勉強部屋になった。
5月25日(月)から彼は毎日塾に来た。
宿題をサボり、それが原因で塾に行くのが嫌だと言っていたMくんが毎日塾に来るのだ。
 
今だから言おう、正直最初は半信半疑だった。
いつまで自習室にくることが続くのだろうか。
どこかのタイミングでポキっと音を立てて、Mくんの心が折れてしまうのではないか。
以前のように、勉強していないことをごまかし続ける生活に戻っていくのではないか。
私は心配ばかりしていた。
 
しかし、Mくんはそれ以来休まずに塾に来続けた。
時間が来たら、課題が終わっていなくてもお構い無しに帰宅していた生徒が、時には23時頃まで残り、課題と向き合っているのだ。
今までサボっていた分があまりにもたくさんあるので、うまく進まないことの方が多い。
それでも手を止めずに必死に問題に食らいついていた。
 
彼の座席はドアから見える一番前。
以前のように集中していない時は、私たちがドアの前に立つだけですぐに目が合っていた。
集中していない何よりの証拠。
しかし、毎日塾に来るようになってからはそういった様子が減っていった。
 
彼は息を吹き返した。
もう一度、自分の目標到達のために頑張って行くことを決意した。
 
世間から見たら、Mくんの一歩など本当に小さな小さな一歩なのかもしれない。
しかし、彼のことをそばで見ていた私たちからしてみれば、その小さな一歩は大きな大きな決意をした確かな一歩だった。
 
だからこそ、彼は本当に悔しかったのだろう。
次の期末考査の日程もきちんということが出来た。
これらは本当に劇的な進化だ。
私はMくんに勉強の進め方についてもう一度アドバイスをした。
期末考査に向けて、Mくんのサポートをしっかりとしていく。
 
本日の塾での様子をMくんのお母さんにLINEで連絡をした。
私は点数にはまだまだ繋がっていない部分もあるが、根気強く指導していくこと、彼の進化に対して褒めてあげてほしいことを伝えた。
 
すると胸が熱くなる返信を頂いた。
 
家庭では一切勉強しないが、勉強に関しては塾にお任せをしています。
今回のテスト当日も意気込みが凄く、頼しく感じました。
結果はなかなか伴いませんでしたが、塾に行くことも嫌がりもせずに行きました。
手応えやヤル気を得たんだと思います。
そっと褒めます。
 
 
私は最後のそっと褒めますというのがたまらなく嬉しかった。
Mくんが自分の望んでいる結果を出すことが出来た時、たくさん褒めていただけるのだろう。
 
進学塾Daichi上牧には学内1位を目指している子もいる。
頑張って定期考査で5教科合計300点を目指す子もいる。
 
点数は人それぞれでいい。
自分が決めた目標点を達成するために頑張る場所、それが進学塾Daichi上牧なのだ。
 
進学塾Daichi上牧とは夢を叶える場所であり続けたい。
一つでも多くの夢を叶えるために、私たちはDaichi上牧生に寄り添い、励まし、指導していきたい。
 
進学塾Daichi上牧 代表 堀居邦彦

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