強い選択

先日、このブログでお伝えしたように中2集団個別生が本当に良く頑張っている。
 
 
言わずもがなではあるが、集団生もすごく良く頑張っている。
中2の集団生たちは『えっ、君たち本当に中2!?』というくらいに勉強する子が多い。
ですから、どうしても集団生と集団個別生との間で学習量における明確な差が存在していた。
しかし、その差を埋めようと必死に自分と向き合い出したのが集団個別生という具合なのだ。
 
これらの頑張りを見せている中2集団個別生のM・I君に月曜日の授業中事件は起きた。
 
「先生、明日から部活動がテスト前休みに入ります。部活動とは違う外部のチームの練習に参加するので、明日の自習には来れません。」
 
副代表の平見に明日は塾に来るのかと尋ねられたところ、そのような返事をしたそうだ。
そのことを聞いて、まだまだだなと私は思った。
 
平見が話をしてくれると言ってくれていたのだが、私は二者面談をした手前、居ても立ってもいられず、授業後にM君を呼び出した。
彼の真意は何なのかを知りたかった。
 
話を聞くと、それっぽい理由を言う。
部活動が休みの期間だから、身体を動かしたいだの、練習をしてうまくなりたいだの。
まぁ、そんな感じの言葉を繰り返していた。
 
見え隠れするのは期末考査に向けての学習をサボりたいという気持ちだ。
 
「ふーん、そうなんや。じゃー、そうしなさい。」
彼が以前のままだとこう言っていただろう。
 
しかし、今回は違う。
『殻を破ろうとしている』最中なのだ。
ここで自習室で学習することが途絶えてしまえば以前の彼と同じだ。
きっと学習のペースが崩れていき『やらされる学習』になってしまうのだろう。
 
私たちは塾なので結果にこだわる。
家庭学習に打ち込めない様子の生徒がいれば塾で学習するようにと積極的に促す。
しかし、この状態はいつまでも長くは続かない。
 
いかにしてこの『呼び出され強制的に学習させらている』状態から『自らが進んで学習をしている』状態に落とし込めるかが勝負となる。
私たちとその生徒との間での真剣勝負だ。
 
大袈裟なのかもしれないが、この期末考査は彼にとって『人生の分岐点』だと私は思っている。
高校入試よりもこの期末考査の方が長い目で見たとき彼にとっては大切なのではないか。
そんな風に感じているのだ。
 
子供たちにはそういった『分岐点』が少なくとも必ず一回は中学校生活を送っている間に訪れる。
しかし、たくさん訪れるものでもない。
人生に於いてそのような機会は限られている。
だから、気付くことすら出来ないままにチャンスを逸しているケースがあるのだ。
 
私が以前の職場でお世話になっていた方がいる。
私の担当していた生徒たちに向けて話をしてくださる機会があった。
その話の中で私の胸に突き刺さったフレーズがある。
 
『チャンスは常に目の前に存在している。そのチャンスに出会えるかは自分が出会おうと意識するかで決まるんだ。』
 
強烈な言葉だった。
私の心は完全に撃ち抜かれた。
理論的で物腰が柔らかな方が放った熱い一言。
この先生にはまだまだ叶わないと思った瞬間だった。
 
話を戻します。
先程の彼にとって今がまさに『チャンス』なのだ。
そのチャンスを掴み取れるかは自分次第なのだ。
だから彼に一所懸命に伝えた。
このチャンスを逃してほしくないという一心のみで話をした。
どうにかして正しく伝えたいと思っていた。
 
今、逃げてどうする!?
先週1週間の頑張りが無駄になる。
自分の意思で決めて、闘魂期間は自習室に来ると誓ったのではないのか?
少し頑張ったからって歩みを止めてしまうのか?
それはあまりにも悲しい。
何よりももったいない。
Mにとって今がチャンスなのだ。
それなのに、結局のところいつもみたいに何かと理由をつけては勉強から逃げるんやな。
それがあまりに残念やわ。
 
本気で伝えたかった。
彼が変われるチャンスは今だと感じているから。
泣き虫な彼は最初は機嫌が悪そうに話を聞いていたが、最後には涙を流していた。
 
叱られたから泣いてるなんていう『ショボい涙』なんかではない。
自分の発言に後悔をして、このままではダメだと理解した様子は彼の目を見れば一目瞭然だった。
 
最後に私は明日来るかどうかは自分で決めなさいと彼に伝え帰宅させた。
 
そして、火曜日19時3分。
彼は自習室に来た。
 
「やるやん!よう来たやんけ!」
と彼には伝えた。
 
彼はニヤリと笑っていた。
彼の少し誇らしげな様子を見るとこちらも何だかこみ上げてくるものがあった。
 
最近意識していることがある。
『子供たちは学習を自らが欲した時にやり出す。』
要はこちら(親や先生)側がじっと耐えるということ。
 
モチベーションを上げることは先生の役目だ。
ただ、学習に意識が向いていない子を無理やりにやらせたとこで、どうしても私たちの指導との『ミスマッチ』が発生する。
 
学習に意識が向きだした時にいかにサポートしてやるか。
これが一番大切なのだと思う。
 
生徒をさまざまな角度でじっくり観ていると、ふとした瞬間にチャンスが舞い降りることがある。
そのチャンスを物にさせられるか。
塾講師としての腕の見せ所なのだろう。
 
百発百中と言うわけにはいかない。
Daichi上牧生が自らのチャンスに出会える可能性を1%でもいいので上げられるように、私たちの生徒を観る目も鍛えていかなかればならない。
 
進学塾Daichi上牧 代表 堀居邦彦

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