「先生、僕(私)はこのままで大丈夫ですか!?」

おはようございます。
本日はこの時期によく耳にするフレーズについてのお話を。
 
中学3年生のお子様をお持ちのご家庭であれば私立入試に向けて赤本演習を進める、そのような時期となりましたね。
 
私たちも来週より赤本演習をいよいよ開始していきます。熟考を重ねた上で受験することを決めた高校です。赤本演習をする時にも自然と力も入るのではないでしょうか。

合格最低点に届かない焦り

この時期は否が応でも『結果』がつきまといます。
今までは模擬試験の偏差値や実力テストの平均点の差を見て、自分と志望校との距離を測っていました。お子様が結果に一喜一憂されることもあったでしょう。ただ、あくまで模擬試験です。
 
しかし、赤本演習となると話は別です。
合格最低点に届いていなかった時は今までの模擬試験の結果とは異なる焦りや不安な気持ちになってしまうこともあるでしょう。
 
「先生、僕(私)はこのままで大丈夫ですか…!?」
結果が出始める秋以降、特に赤本演習を進めていくと耳にするフレーズです。なぜ、子どもたちはこのフレーズを使うのでしょうか!?このフレーズを使っている時にどのようなことを考えているのかを私の経験を交えてお伝えします。

代表 堀居の苦い経験談

ここからは私の苦い経験です。少しお付き合いください。
アルバイト塾講師を始めて3年目。初めて中3を担当することになりました。
郡山高校を志望校に掲げる生徒が2名いました。秋の模擬試験でなかなか結果が出ず焦り出す時期。ある生徒が先ほどのフレーズを私に伝えに来たのです。
当時の私は「この生徒の不安な気持ちを取ってあげなければ。」と思い、その日以降、授業後にその生徒とよく話をしました。叱咤激励の日々でした。それらの様子を見ておられた当時の上司に言われた一言が、「堀居、かまいすぎだ。あいつを放っておけ。」でした。
衝撃的な一言。同時に沸々と怒りが込み上げてきました。塾講師は毎年受験生を見ている。それも一度に何人も。けど中学生にしてみれば人生で数えるほどしかない受験という機会。彼らにしてみれば本当に不安になることなのに。塾講師を何年も続けるとこうなってしまうのか…と。
 
同じくらいの成績の生徒がもう一人いました。
この生徒は自分の担当クラスではなかったということもあり、あまり話をしていませんでした。
 
毎日自習室開放時間の最終時刻まで残る二人。
話を聞いてもらうことが多い者と黙々と自習室で学習をする者。
 
その後の結果はというと、私が話をし続けた生徒は最後まで成績を伸ばしきることは出来ませんでした。対照的に、あまり話をしなかった生徒は秋の実力テストで成績上昇のきっかけを掴み、赤本演習を積み重ねさらに力をつけて最終的には志望していた郡山高校へ。
 
今から考えると当然の結果です。
 
入試を終え上司にあの一言の真意を尋ねました。
「堀居、君が話を聞いたことであの子の気持ちは確かに落ち着いたかもしれない。最終的に郡山高校ではなく、自分の行きたい私立高校を見つけてちゃんと合格出来た。ただ、君が話を聞いたところであの子の成績は秋以降にさらに上がったか!?寄り添うことも確かに必要な時もある。しかし時には敢えて距離を取ることも必要だ。」
 
本当に反省しました。自分がしていたことは、結局のところその生徒を甘やかしていたのだと。話を聞いている間にもっと勉強が出来たはず。
 
困っている生徒を支えることは必要。しかし、依存させてはいけないと。中3生を担当した初年度の私の苦い経験です。もう10年以上も前のことです。

子どもは不安を抱えている。でも、敢えて…。

不安な気持ちを払拭するために先ほどのフレーズを私たちに聞きにくる生徒はいます。しかしこのフレーズには裏返しの意味があるのではないでしょうか。そうです、『自分には頑張れていない時期があった』です。そしてその事実を痛感している自分がいる。「頑張れていない時期があったけど」という枕言葉も含めた質問のような気がします。少し厳しくなってしまいましたね。
 
「自分が努力出来なかったことにようやく向きあえたな。まぁ、物は考えよう。入試までにそのことに気づけて良かったと。不合格という現実をつきつけられる前に気づけて良かったと。未来を変えるために、これから合格に向けて努力を積み重ねような。さぁ、頭使って勉強するぞ!」
今の私であればこのような声かけをします。
 
ご家庭でこのようなフレーズをお子様が口にされたら「高校入試に対して不安なんやね。初めてのことだから当然のこと。自分の成績に不安なことに今気付けて良かった。今気づけたからまだ努力出来る日は十分に残ってるよ!応援してるからね。」と背中をポンっと押してあげてください。不安な気持ちをわかってほしい、誰かに聞いてもらいたい。それだけなのです。必要以上に干渉せず、また甘い言葉をかけるのではなく前向きに学習していくようにとお子様に声をかけてみてください。そして、塾にお通いであれば、お子様には内緒で塾の先生に少しナーバスになっているから少し気にかけておいてとお伝えされるのも手だと思います。経験豊富な先生であれば適切な距離でお子様を指導されるはずです。

最後に…

入試は独りの戦いです。誰も助けてはくれません。今まで努力を積み重ねてきた日々が自信となります。この高校に合格したい、この高校に通いたいという想いが一枚の答案に乗っかる。魂を込めて答案用紙を一つずつ埋めていくものだと私は考えます。
進学塾Daichi上牧では学期の終わりに三者懇談会を実施しております。また必要だと感じた折には保護者会も開催しております。保護者の方々には貴重なお時間を割いていただき塾までお越しいただいております。
私たちの普段の取り組みやどのような想いで日々指導に当たっているかなどをご報告させていただく機会となります。
次週の保護者会でも、私たちの指導経験がお子様にとって少しでも役立てるような有意義な時間となるようにと願いながら副代表の平見と準備をします。
それでは本日はこのへんで。
進学塾Daichi上牧 代表 堀居邦彦

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