定期試験の範囲表に隠された意外な落とし穴

副代表の平見です。
上牧地域は先週が定期試験週間でした。すでに試験結果が出そろった中学校もあれば,今週結果が返却される中学校もあります。Daichi上牧では10月1日から定期試験対策期間に入り,生徒たちそれぞれが目標点を決め学習に励んできました。対策期間中,結果が楽しみになるような素晴らしい頑張りを見せてくれた子もいます。しかし,約束した頑張りをなかなか実行できなかった子もいました。うまくいった子も,いかなかった子も今回の試験の結果をしっかりと振り返り,今後につなげてほしいです。特に中学3年生は,いよいよ次の試験が内申点を決定する最後の試験になります。志望校を受験校にすることができるよう悔いのない頑張りをしましょう。
さて,今回の定期試験において,ある中学校の試験範囲表を見ていると気になったことがありました。
それは中1数学の試験範囲です。今回の試験範囲は「教科書P.66~P.97」でした。単元でいうと「式の値」から「等式の性質を使った方程式の解き方」までですね。ちなみに昨年の2学期中間試験の範囲は「教科書P.72~P.117」でした。今年は昨年に比べ10ページ以上少ないですね。そして,進度も昨年と比べ20ページほど遅れている形です。
子どもたちは試験範囲が狭いと喜びがちですが,そこには意外な落とし穴が隠されています。

① 実力問題の占める割合が大きくなる

前回の定期試験から授業があまり進んでいない場合,その範囲内だけでは問題数が不足し,範囲外の内容からの実力問題がかなりたくさん出されることがあります。今回もある中学校の2年生の英語の試験では,初めて見る長文問題が約25点分出されていました。かなり長い文章で,注釈のついた単語も多いものでした。こういった出題が多くなると,試験前にあわてて範囲の内容を詰め込むような勉強では到底太刀打ちできません。日頃からしっかりと実力を鍛えておくことが求められます。定期試験の出題形式や難易度は回によって本当にバラバラで,直前に学習した範囲からのみ出題される場合もあれば,今回の試験のように実力テストのような問題になることも珍しくありません。ですから,試験直前に学習内容を詰め込むような付け焼き刃の勉強をしていては,実力を試される問題が多くなったときに対応できません。生徒たちにはよく言いますが,試験2週間前の段階で試験結果の7~8割は決まっています。試験直前さえ頑張れば良い点数がとれるなどという都合のいい話はありません。また,試験直前に無理やり知識を詰め込んだとしても,そんなものは試験が終わって3日もすれば忘れてしまいます。定期試験で正しく成功するためには,試験直前の頑張りも大切ですが,それ以上に普段の学習の中での「鍛え」が大切なのです。
そして,特に上位校を目指す生徒は定期試験レベルの問題が解けることに満足していてはいけません。試験前の期間を使って,入試レベルの問題に対応できる力をつけておきましょう。上位校を目指す生徒は普段の学習の中で,定期試験レベルの問題は難なく解けるほどの力をつけているものです。逆に言えば,定期試験前に達成度が低いと焦っているようでは,上位校を受験していくのは難しいでしょう。ですから,上位校を目指す生徒は部活動が無く,比較的自由に時間を使うことができる試験前の期間をうまく利用して,入試レベルの問題にじっくりと向き合いましょう。

② 入試までに単元学習が終わらない可能性がある

これは特に数学に関する問題だと思いますが,学校の授業で単元学習が終了する時期は意外と遅いものです。ある中学校の今年度のシラバスを見てみると,数学の単元学習がすべて終了するのは2月上旬となっております。しかし,2月上旬には私立高校の入試,2月中旬には公立高校の特色選抜があります。そう考えると,シラバス通りのペースで進んだとしても全単元の学習が終了するかしないかのタイミングで子どもたちは入試を迎えることになります。もし単元学習が終了していたとしても,十分な演習時間を確保することは難しいです。塾等を利用して先取りで学習していれば問題は無いですが,前もって準備をしていない子どもたちにとってはかなり厳しい状況であると言えます。つまり,授業の進度が遅く,単元学習の終了時期が遅れているということは,学習していない単元を抱えたまま入試を迎えてしまう可能性が大きいということです。また,こういった状況を防ぐためにと,年度途中で急に授業のペースが速くなるということもよく見受けられます。そうすると,闇雲に進んでいくだけの授業が行われたり,定期試験の範囲がとんでもなく広くなったりということが起こって,子どもたちは戸惑うことも多いようです。

③ まとめ

定期試験の範囲が狭いことには,このような落とし穴が隠されています。「定着度の高い学習」と「学習のスケジューリング」ができていないと痛い目を見ることになります。正しい学習方法・学習計画の立て方の指導,学習状況の管理,緻密にスケジューリングされた授業を大切にしながら,Daichi上牧では日々生徒たちを指導しています。

進学塾Daichi上牧 副代表 平見優樹

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